座ってたらお尻や足が痛くなったりしびれてくるんだけど、大丈夫なのかなぁ・・・。
坐骨神経痛とかヘルニアとか聞いたことあるけど、何が原因でどんな症状なんだろう?
これってヘルニアなのかな?
このような悩みや疑問を解決する記事になっています。
国民の80%が一生に一度は腰痛を経験するといわれています。
腰痛には原因のはっきりしている特異的腰痛症と原因がはっきりしない非特異的腰痛症があります。
特異的腰痛症でもっとも多く知られている疾患は腰椎椎間板ヘルニアです。
こんな経験はありませんか?
・座ってたら腰が痛いだけじゃなくてお尻や足が痛くなる
・お尻や足の感覚が鈍くなったりしびれたりする
この記事を読むことで、腰椎椎間板ヘルニアの原因や症状を知り、自分がヘルニアかどうか気づくことができます。
【本記事の内容】
・椎間板ヘルニアの原因
・椎間板ヘルニアの症状
理学療法士として学んできた医学知識や経験も踏まえて解説していきます!
下記の文献も参考にしています。
・嶋田智明:『腰痛の病態とその理学療法アプローチ』.文光堂,2008
・林典雄:『整形外科運動療法ナビゲーション上肢・体幹』.メジカルビュー社,2014
・坂井健雄:『プロメテウス解剖学アトラス解剖学総論/運動器系』.医学書院,2007
・ヘルニアかどうか心配な人
・お尻や足に痛みやしびれがある人
・ヘルニアの原因や症状について知りたい人
腰椎椎間板ヘルニアとは【症状について】
腰椎椎間板ヘルニアとは
背骨の椎骨と椎骨の間には椎間板というクッション材が存在しています。
この椎間板が変性し組織の一部が飛び出すことを腰椎椎間板ヘルニアといいます。
飛び出した組織の一部が神経を圧迫することで足に激しい痛みやしびれを生じることがあります。
この神経症状は一般的には坐骨神経痛といわれることが多いです。
腰椎椎間板ヘルニアの主な症状
・腰痛
・お尻、太もも、ふくらはぎなどのしびれや痛み
・太ももや足首に力が入らない
・おしっこが出にくい
椎間板から飛び出したヘルニアが神経を圧迫することで神経症状を呈します。
感覚神経を圧迫すれば、しびれや痛みを生じます。
運動神経を圧迫すれば、筋力低下や運動麻痺を生じます。
場合によっては、膀胱直腸を支配している神経に麻痺を生じることもあるので注意が必要です。
ヘルニアの飛び出している場所によって症状は異なる
腰椎は5つありそれぞれの神経支配領域に症状が出現する特徴があります。
腰椎の4番目と5番目の間から出ている神経であれば、ここにしびれや痛みがでるというように決まっています。
つまり、しびれや痛みの出現する場所が分かれば、どこの部位で神経が圧迫されているかを推測することができます。
MRIで実際に出ているヘルニアと症状の部位が一致すれば、そのヘルニアが症状の原因となっていることが確定的だといえます。
ヘルニアで注意すべき症状とは
整形外科の疾患であり、極論でいえば命に関わることはありません。
ただ、放っておいてはいけない症状があります。
それは、運動麻痺と膀胱直腸障害です。
おしっこの出る感覚が分からない。おしっこがでない。
これらの症状は放っておいて時間が経つと、後遺症が残るといわれています。
一般的にはこれらの症状が出たときは、48時間以内に緊急手術をしないとけないといわれています。
腰椎椎間板ヘルニアとは【原因について】
ヘルニアは椎間板の変性がベースにある
腰椎椎間板ヘルニアの基盤となる原因は椎間板の変性です。
変性というのは組織の構造が脆弱に変化すること。
椎間板に長年負担がかかって変性がすすみます。
椎間板内の水分量は一日で違う
椎間板は弾力性のある組織で、水分を多く含んでいます。
この水分量がカギなんです。
椎間板内の水分量は朝と夜で違います。
1日の身長の変化は、この椎間板の水分量の増減による椎間板の高さの変化によるものといわれています。
・1日で身長は1cm程度変わる
・朝が一番身長が高く、夜になるほど低くなる
・重力で圧迫されて椎間板から水が抜けることで低くなる
・寝ている間に椎間板に水分が戻ることで高くなる
午前中に椎間板に負担をかけると危険
朝がもっとも水分量が豊富(身長が高い)な状態ですが、もっとも痛めやすいといわれます。
水分を含んでふやけている状態なので圧迫すると傷つきやすい。
午前中に重い物を持ったり、中腰で作業をするなどは控えるのがよいでしょう。
・午前中に洗顔をするときに中腰の姿勢をせず膝を曲げる
・午前中に重たいものを持たない
・午前中に座りっぱなしにならない
椎間板ヘルニアを起こす原因【クリープ現象に注意】
椎間板は瞬間的な負担には弾力性で対応することができます。
でも、椎間板は長時間ストレスがかかり続けることに弱いんです。
これを理解するには、クリープ現象といわれる現象を理解する必要があります。
【クリープ現象とは】
筋肉はすぐに伸び縮みする特徴がありますが、靭帯や椎間板などの静的支持組織は通常すぐに伸びることはありません。
一般的に捻ったり急激な外力で靭帯が伸びたと表現することはあるかもしれませんが、厳密には微細損傷を起こしている状態です。
しかし、靭帯や椎間板などの静的支持組織も緩くなったり脆弱になることがあります。
それは、急激な力ではなく弱い力で長時間ずっと同じ張力で負荷をかけ続けることです。
そうすると靭帯や椎間板などの静的支持組織が緩く脆弱になってきます。
これをクリープ現象といいます。
つまり、長時間の同一姿勢を続けて同じ負荷をかけ続けることが、椎間板にとってもっとも避けなければいけないストレスになります。
長時間の同一姿勢については、下記の記事も参考にどうぞ。
椎間板内圧の高まりやすい姿勢とは
そしてもう一つ知っておくべきことは、椎間板の負荷がもっともかかりやすいのは座位や中腰だということです。
次の図をご覧ください(嶋田智明,腰痛の病態とその理学療法アプローチ,2008より引用)
立位で椎間板にかかる負担を100としたときのそれぞれの姿勢でかかる負担を示しています。
座位や中腰の方がストレスがかかっているのが分かるかと思います。
洗顔動作など立位での動作も中腰にならないように注意しましょう。
腰に負担のかかりやすい日常生活動作については、以下の記事も参考にどうぞ。
重いものを持つことで腰に負担がかかる
椎間板は後方組織の方が脆弱であり後方に飛び出すことがほとんどです。
重い物を持つことでさらに負荷は増大します。
職業的には、運送業やデスクワークに多いのはこの辺りが原因であることが多いためです。
さらに、車の振動がヘルニアの発症リスクになるという報告もあります。
重いもの持つ介護士や運送業の方は、以下の記事も参考にどうぞ。
【腰椎椎間板ヘルニアになりやすい要因】
①長時間の同一姿勢をとる仕事(デスクワーク、運転手)
②車の運転による小さい振動の継続(運転手)
③重い物を持ち上げる(運送業)
④中腰での作業
⑤午前中に負荷をかけること
⑥ハムストリングスが硬く骨盤が後傾し猫背になりやすい人
腰椎椎間板ヘルニアで注意すべき症状【運動麻痺と膀胱直腸障害】
腰椎椎間板ヘルニアでもっとも辛いのは脚の痛みやしびれです。
ひどい場合には身動きもとれず夜間も寝ることもできず冷や汗をかいて苦しむ人もいるほどです。
長く続くと精神的にも病んできてメンタルがやられたり、仕事に支障がでて退職する人もいたりします。
こういうひどい状況の場合には受診をして、ブロック注射や手術などで早く症状をとってあげる方が良い場合も多いと思います。
いつも痛いわけでなくて我慢できるぐらいの痛みやしびれであったり、日常生活や仕事にそこまで支障が出ていないという人がほとんどだと思います。
そういう人たちはすぐにブロック注射や手術をする必要はありません。
90%の腰椎椎間板ヘルニアは運動療法や自然軽快で症状がなくなるためです。
受診をして理学療法士によるリハビリを受けるのがいいでしょう。
腰椎椎間板ヘルニアで気をつけるべき症状があります。
それが運動麻痺と膀胱直腸障害です
なぜかというとこの2つの症状は出現した際に放っておくと後遺症が残る可能性が高いためです。
急激な運動麻痺が起こったり膀胱直腸障害が起こったときは、48時間以内に手術をしないと後遺症が残る可能性が高いといわれています。
もし足の指やつま先が動かなくなったなどの症状や、おしっこが出にくくなったなどの症状が出現した場合はすぐに整形外科を受診しましょう!
3日後の休みの日でいいかなんて思っていると取り返しがつかないことになるかもしれませんよ!
腰椎椎間板ヘルニアの対処法と治療法【ランバーサポートがおすすめ】
前述したように日常生活や仕事での習慣が原因となっていることが多いといえます。
まずは自分の中で何が負担となっているか原因を考えることが大事です。
もし職業であれば変えられないこともあるかもしれませんが、工夫はできるのではないかと思います。
デスクワークなら定期的に立ってトイレに行ったり30分ごとに立って歩くようにしたり、長時間の座位姿勢をやめることが一番です。
もう一つは座位姿勢をよくすることです。
ヘルニアは後方に飛び出すことがほとんどで、腰椎が曲がって後ろの椎間板に張力がかかっていることが要因となりやすい。
つまり腰椎が屈曲して生理的前弯がなくなっている座位姿勢がヘルニアの要因といえます。
ランバーサポートといわれる腰部にクッションや丸めたバスタオルをいれて、自然と腰椎の生理的前湾をとれるようにすることもおすすめです。
あとは立った時に腰をそらしたり伸びをしたりするのも有効です。
どうしても立ち上がれないときは骨盤を起こしたりだらんとしたり上下に動かす運動も効果的です。
ヘルニアにならないため、もしくは治すための気をつけるべきこと
①長時間の同一姿勢(特に座位姿勢)をやめて定期的に姿勢を変えること
②背中が丸まった座位姿勢を正す
③重い物を持ち上げるときは腰を落とすようにして行う
まとめ
腰椎椎間板ヘルニアは日常生活や仕事での習慣や姿勢が原因であることが多いといえます。
動作方法や姿勢を修正することで予防することができるので対策してみてください。
良い姿勢を保つために便利な道具としてランバーサポートも色々ありますので使ってみるのもいいでしょう。
車の運転やデスクワークを仕事としている人にはぜひおすすめします!
そして、運動麻痺や膀胱直腸障害が出現したときにはすぐに整形外科を受診するようにしましょう。
それでは、また!