原因は大きく分けると2つ考えられます。
①腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経症状
②エコノミークラス症候群による症状
①の腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経症状が気になる方は以下の記事をご覧ください。
今回の記事では、②のエコノミークラス症候群についてご紹介します。
では、エコノミークラス症候群を聞いたことがありますでしょうか?
災害時に避難所などで何日も過ごさないといけなくなったときに、たくさんの方が発症して中には亡くなられた方もいて、テレビで報道されたりしていたので聞いたこともあるかと思います。
最悪の場合には死に至るケースもありますが、正しい知識を持っておくことで予防することができます。
特に、夏の時期に起こりやすかったり、長時間同じ姿勢をすることのあるトラック運転手やデスクワークをする方は要注意です。
この記事を読んで、エコノミークラス症候群についての症状・予防・治療の正しい知識をもちましょう。
長時間の運転での足のしびれや痛みに悩まされている人の症状が軽減し、悩みから解放されるきっかけになれば嬉しいです。
・トラック運転手やデスクワークなど長時間座りっぱなしの仕事をされている方
・長時間座っていると足がしびれたり痛くなったりする方
・エコノミークラス症候群の症状や原因や治療法について知りたい方
エコノミークラス症候群とは
飛行機のエコノミークラスに乗っていた人に発症することが多いことから命名され、一般的にも知られるようになりました。
正式名称は「深部静脈血栓症」と言われます。
ふくらはぎ(下腿)の筋肉の下にある深部静脈の中に血栓ができることをいいます。
そして、この疾患の恐ろしいところは、血栓が万が一はがれて血流にのって移動して肺に詰まった場合に致死的な症状を起こしうることがあることです。
この状態になったものを「肺血栓塞栓症」と言われます。
入院中の長期臥床や術後の臥床により血栓ができやすく、久しぶりにベッドから起きて歩き始めたときに血栓が飛んで重篤な症状を起こしうることが医療業界ではよく知られています。
症状は、片側の下肢にむくみを生じたり、うっ血により色調変化を生じたり、ふくらはぎの緊満感や痛みが出現したりします。
静脈の血管の解剖学的構造により、左脚の方に好発します。
肺血栓塞栓症の場合は、肺に血栓が詰まったことにより突然の呼吸困難感や胸痛が起こります。
この場合はほっておくと血液の中に酸素が足りなくなって低酸素血症となってしまうため緊急を要します。
エコノミークラス症候群の原因は
エコノミークラス症候群の起こりうるシチュエーションとして以下の例があげられます。
・飛行機や列車や車などの交通機関で長時間の座位姿勢をとる
・トラック運転手やデスクワークでの長時間の座り仕事をしている
・災害時などで長時間の同一姿勢をとる
・入院中にケガや病気や手術で臥床時間が長くなる
・夏に汗を多くかくことで脱水状態になる
なぜこのようなシチュエーションで起こりやすくなるのか。
いくつか要因があります。
①長時間座位姿勢をとることで重力の影響を受け下腿部などの末梢に血流が滞り心臓への戻りが悪くなること
②同一姿勢を取り続けじっとしていることで筋肉の収縮などでのポンプ作用が働かないこと
③汗で水分失われたり水分摂取が少なくなることで血管内が脱水状態になり血液がドロドロになること
①について
夕方になると脚がむくむことってよくありません?
ひどい人では靴のサイズが0.5~1㎝程度変わる人もいます。
一日中パソコンを使ったりするデスクワークだったり、一日中立ちっぱなしの仕事の方はむくみやすいですよね。
人間は地球上にいる限り常に重力にさらされています。
重力の影響による変化をもっと受けるのは姿勢です。
心臓と足の高さの差があればあるほど心臓まで返しきれなかった血液が滞り末梢の循環が悪くなります。
②について
ふくらはぎは第2の心臓といわれます。
ふくらはぎの筋肉は収縮することでポンプ作用によって心臓へ血液を返す機能を持っています。
歩いたりすることで自然とふくらはぎの筋肉を使うので重力の影響で滞りやすくなった血流を心臓に戻すことができます。
でも長時間立ちっぱなしなどでふくらはぎの筋肉を使っていないとこのポンプ作用が働きません。
③について
血圧は血管内の水分量により高くなったり低くなったります。
蛇口をいっぱいひねって水の量を増やせば、ホース内の水圧も高くなり水の勢いが強くなりますよね。
それと同じように考えてもらって大丈夫です。
汗をいっぱいかいたり、水分の摂取量が少なくなると血管内の水分量が少なくなり、血管内の水の勢いが弱くなり心臓に返しきれないことが起こってきます。
また水分が少なくなった血液は滞りやすくなることで血管内に血栓を作りやすい状況になってしまいます。
・重力の影響を受けやすい姿勢をとったり、長時間同じ姿勢をとったり、ふくらはぎの筋肉を使わないことで下腿部に血流が滞る
・脱水状態になることで血管がドロドロになり血栓ができやすくなる
・長時間の交通機関での移動、夏の時期は特に要注意
エコノミークラス症候群の予防について
エコノミークラス症候群を予防するにはどうすればいいでしょうか?
①姿勢を定期的に変える
②ふくらはぎの筋肉をマッサージしたり収縮させる
③水分を小まめに摂取する
④弾性ストッキングの着用
結論から言えば、この4つをしっかり行うようにすれば大丈夫です!
長時間の交通機関での移動の場合で考えてみましょう。
ずっと座りっぱなしにしないように、1時間に1回程度トイレにいったりするようにして、立って歩くようにしましょう。
座った状態でふくらはぎの筋肉を収縮させる運動を紹介します。
太ももの上に手を置いて抵抗をかけた状態で、踵を浮かしてつま先立ちになるようにする運動を20回程度行いましょう。
立った時にやればなお効果的です。
この運動ができないときはふくらはぎを直接つまむようにしてマッサージするだけでもいいです。
筋肉をつまむことでポンプ作用を促してあげましょう。
あと気を付けないといけないのは、高齢者の脱水です。
高齢者になると喉が渇くという感覚が鈍くなり、体の中の水分が足りてなくなりやすいです。
喉が渇いたと感じたときには既にかなり脱水状態になっていることもありえます。
特に高齢者は、喉が渇いたという感覚がなくても定期的にこまめな水分補給をするようにしましょう。
最後に、弾性ストッキングの着用についてですが、これは入院や術後の臥床期間に装着することの多い、圧迫の強い靴下みたいなものです。
弾性包帯などで圧迫することもあります。
女性の脚のむくみ防止用の圧迫するストッキングが売られていますのでそれで代用しても問題ないです。
エコノミークラス症候群の治療について
エコー検査や静脈造影にて診断されます。
エコーで安定した血栓か不安定な血栓かなど確認します。
不安定な血栓の場合は、肺などに飛んでしまった場合致死的な合併症である肺血栓塞栓症となりえます。
発症後はなるべく早期に治療を開始することが重要になります。
血液をサラサラにして血栓ができにくくする抗凝固療法(ヘパリン、ワーファリン)と血栓を溶かす血栓溶解療法(ウロキナーゼ)となります。
基本的には治療より予防が大事になります!
まとめ
夏の暑い時期や災害時などに起こりやすいエコノミークラス症候群についてまとめてみました。
長時間の交通機関での移動でも起こる可能性があるので気を付けましょう。
特に、仕事で長時間座位をとらないといけないトラック運転手やデスクワークの方は要注意です。
長時間運転していて足がしびれたり痛みがでる方は、もしかしたらエコノミークラス症候群かもしれません。
起こしてしまうと重篤な結果を招くこともありますが、ちょっとした予防や対策をするだけで防ぐことができます。
知っているのと知らないのとでは全然違います。
夏の時期や旅行時には気を付けて対策して予防してくださいね。
それでは、また!