来週テストだけど勉強する時間が足りない、仕事で来週必要な書類がまだできていない。
そんなときは夜更かしして睡眠時間を削ったりしてしまっている方も多いのではないでしょうか?
忙しい時や時間のないときほど優先順位を下げて削りやすいのが睡眠です。
睡眠は1~2日であれば減らして無理することができる分やってしまいがち。
寝なくても済むなら寝ないで他のことをしたいと思う人もいるでしょう。
でも、睡眠をないがしろにすると健康面に重大な問題を生じる可能性があります。
軽視しがちかもしれないですが、睡眠は健康においてめちゃくちゃ大切なんですよ。
睡眠が健康に与える影響の大きさを知りましょう!
厚生労働省の発表している「健康づくりのための睡眠指針2014」を基に作成しています。
この指針は様々な研究を元に作成されており、現在の睡眠におけるエビデンスといえます。
理学療法士として学んできた医学知識も踏まえてお伝えします。
・睡眠を軽視ししている人
・睡眠不足や質の悪い睡眠により心身の健康問題を生じている人
・睡眠についてのエビデンスを知りたい人
睡眠が体や心の健康に与える影響とは
睡眠は削ってもいい?睡眠は必要不可欠?
人はなぜ毎日眠らないといけないのでしょうか?
眠らないとどうなるのでしょうか?
多くの人は一度や二度徹夜したことはあると思いますし、寝不足で失敗したこともあると思います。
今まで生きてきて経験してきたなかで睡眠の大切さは理解されていることでしょう。
しかし、今一度睡眠の重要性をしっかりと認識しましょう。
睡眠は心身の健康を保つために必要不可欠なものです。
良い睡眠をとることで体も心も健康になりますし、悪い睡眠習慣が体や心をむしばむ原因ともなります。
睡眠が健康に与える影響
睡眠には心身の疲労を回復する効果があります。
睡眠が量的に不足したり、質的に悪化したりすると健康上の問題や生活への支障が生じてきます。
睡眠時間の不足や睡眠の質の悪化は、生活習慣病のリスクにつながることがわかってきました。
また、不眠がうつ病のようなこころの病につながることや、睡眠不足や睡眠障害による日中の眠気がヒューマンエラーに基づく事故につながることも明らかになっています。
良い睡眠が体の健康をつくる
睡眠は、食事、運動、飲酒、喫煙などの他の生活習慣と同様に人間の健康と深く関係し
ています。
日本や欧米を対象とした研究においても、日常的に睡眠時間が短い者は死亡リスクが高まることが示されています。
生活習慣に着目して健康づくりを進めていくためには、まずは自分の睡眠について関心を持つことが大切です。
良い睡眠が心の健康をつくる
睡眠が足りていないとイライラしたり元気がでないという経験をしたことはないでしょうか?
睡眠は心の健康にも影響を与えます。
不眠が抑うつなどのこころの不健康につながる事が研究により示されています。
不眠の重症度が不安や抑うつの重症度と相関しており、うつ病や不安障害の危険因子となるといわれています。
健常者でも実験的に睡眠をはく奪すると、身体愁訴、不安、抑うつ、被害妄想が発生・増悪し、感情調節力や建設的思考力、記憶能力等のこころの健康を保つ上で重要な認知機能の低下が生じます。
つまり、睡眠が不足することでうつ症状がみられたり、感情のコントロールが低下して情緒不安定になったり、思考力や記憶力の低下がみられる可能性があるといえます。
また睡眠不足により、脳の前頭前野や大脳辺縁系の代謝活性を低下させ、ストレスホルモンであるコルチゾルの分泌量を増加させるといわれています。
良い睡眠をとることで、心の健康をつくることができるといえますが、一方で睡眠の質や量の低下により心の問題を生じる可能性があるということです。
良い睡眠が事故を防止する
睡眠不足により交通事故を起こしそうになってヒヤリとしたり、仕事中に失敗したことなどはないでしょうか?
睡眠は脳の機能にも影響を与えます。
居眠り事故は、他の原因の事故に比べて死亡事故につながりやすいといわれます。
睡眠時間が6 時間未満の者では、7 時間の者と比べて居眠り運転の頻度が高かったことが示されています。
また、交通事故を起こした運転者においては、夜間睡眠が6 時間未満の場合に追突事故や自損事故の頻度が高かったようです。
1日徹夜(24時間覚醒)することで、認知・精神運動作業能力は、血中アルコール濃度0.1%(およそビール大瓶1本飲用に相当)の時と同程度に低下するといわれています。
夜間の睡眠時に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群は、男性で約9%、女性で約3%と頻度が高く、日中の眠気を引き起こす代表的な睡眠障害です。
中等度以上の睡眠時無呼吸症候群を有する患者では、そうでない者に比べて、5 年間での複数回の事故経験が約2.4 倍だったことが示されています。
睡眠時無呼吸症候群を有する患者では、経鼻持続陽圧療法で適切に治療を行うと、眠気が改善し、事故の発生率が低下するといわれています。
こういった様々な研究結果から、睡眠の質や量の低下により、集中力や判断力の低下を生じて重大な事故を起こす危険性が指摘されているといえます。
まとめ【睡眠の改善が心身を健康にする】
睡眠の質や量の低下が、心身の健康に悪影響を与えることが、研究により明らかとなってきてきています。
僕らは経験的に睡眠が大事なことは分かっているつもりかもしれません。
でも、もう一度睡眠についてしっかり考えることが大事ではないでしょうか。
人生の1/3の時間は眠っているわけです。
ここをおろそかにすることで人生の残りの2/3を台無しにしてしまう可能性があります。
睡眠不足により交通事故で人生を棒に振ってしまったり、仕事で重大なミスをしたり、心身の健康問題を生じてしまったりするかもしれません。
この記事を読んで、睡眠の大切さを認識してもらえれば幸いです。
今回は厚労省の「健康づくりのための睡眠指針2014」の総論の部分について整理しました。
各論の部分も順次整理していきますので、他の記事も読んでもらえればと思います。
「健康づくりのための睡眠指針2014」について詳しく知りたい方は下記の記事もご参照ください。
人生の1/3の時間を費やす「睡眠」について学ぶことで、残りの2/3人生を良いものにしていきましょう。
厚労省の健康づくりのための睡眠指針2014の原本を知りたい方は以下をご参照ください。
それでは、また!