・睡眠中に何度も目が覚めてしまう
・予定より早くに目が覚めてしまい、その後寝つけない
・睡眠時間をとったはずなのにぐっすり眠った気がしない
このような悩みを解決する記事になっています。
眠りたいのに眠れない、夜中に目が覚めてしまうなど、満足のいく睡眠ができないことがあります。
睡眠の質や量が十分でないために、日中に疲労感を感じたり、仕事などに支障が出たりすることもあるでしょう。
こうした睡眠障害を「不眠症」といいます。
この記事で紹介する「不眠症の基礎知識」を読むことで、あなたがどのタイプの不眠症であるかを知ることができます。
理学療法士として学んできた医学知識も踏まえて、「不眠症のタイプ」、「不眠症を発症させる要因」、「不眠の対処法」についてお伝えします。
この記事の信頼性の担保としては、厚労省の発表している情報も参考にしています。
・すでに不眠症と診断を受けている人
・不眠症についての基礎知識を知りたい人
・不眠症を発症しないよう予防したい人
不眠症とは【眠れない・目が覚める・熟睡できない】
不眠症の診断基準は
不眠症とは、入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害などの睡眠障害が1ヵ月以上継続し、日中に不調を生じることをいいます。
日中の症状としては、倦怠感・集中力の低下・意欲の低下・頭痛・めまい・食欲不振など多岐にわたります。
誰しも「寝ようとしてるけど眠れない」という体験は経験しています。
ほとんどは一過性のもので、数日~数週間で再び眠れるようになります。
①不眠が改善されず1ヵ月以上継続
②日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する
この2つが認められたとき、不眠症と診断されます。
不眠症は国民病?
日本人を対象とした研究において、「睡眠で休養がとれていない」、「何らかの不眠がある」と答えた人は5人に1人にものぼっています。
高齢者においては3人に1人が睡眠の問題に悩んでいます。
不眠で通院している方の20人に1人は、不眠のために睡眠薬を使用しています。
決して、特別な病気ではないといえます。
5人に1人は睡眠の悩みを持っているといわれています。
あなたも不眠症かもしれませんよ。
気になる方は「アテネ不眠尺度」で自己採点してみてはいかがでしょうか? pic.twitter.com/f8IkzrjPd3— しーたす@健康寿命延伸ブログ (@generalist_pt) November 10, 2019
不眠症の4つのタイプ
入眠障害【夜なかなか寝つけない】
「羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹・・・・」
布団に入ったはいいけど眠れなくて羊を数えてみたことがある人も多いのではないでしょうか?
僕もやったことはありますが、羊のイメージが妙に頭の中をしめてしまい、余計眠れなくなった記憶があります(笑)
羊は英語でsheepということから、眠りのsleepとかけているみたいですね。
余談はさておき、、、
入眠障害というのは、横になってもなかなか寝つけず、それによって苦痛を感じるタイプの不眠症です。
悩みごとや考えごとがある場合に起きやすいといわれています。
夜になると悩みごとなどを考えすぎてしまって眠れなくなったりすることってありますよね。
中途覚醒【夜中に何度も目が覚めてしまう】
夜喉が渇いて目が覚めたり、トイレに行きたくなって起きちゃうことはありますよね。
でも、普通はまた布団にもぐりこんだらすぐに眠れます。
もし起きる理由もなく夜中に目が覚めてしまって、ましてやそこから寝つけなかったら困りますよね。
睡眠中に何度も目が覚め、いったん目が覚めるとなかなか寝つけないタイプの不眠症を中途覚醒といいます。
このタイプは入眠には問題はないのが特徴です。
高齢者によくみられます。
高齢者は、夜間頻尿の方が多いこと、睡眠リズムが早寝早起きにシフトしやすいこと、必要な睡眠時間が短くなることが要因となります。
早朝覚醒【朝早くに目が覚めてしまう】
朝の4時とか5時の日の出前に外にでてみてください。
とんでもなく早い時間帯から散歩している高齢者って案外いたりするんですよ。
高齢者は早起きってイメージありますよね。
もしかしたら睡眠障害の症状のひとつかもしれません。
予定よりずっと早くに目が覚めてしまい、その後なかなか寝つけなくなるタイプの不眠症で早朝覚醒というものがあります。
高齢者によくみられる不眠症の一つです。
高齢者は、睡眠リズムが早寝早起きにシフトしやすいこと、必要な睡眠時間が短くなることが要因となります。
熟眠障害【朝起きたときにスッキリしない・熟睡感がない】
十分な時間睡眠をとったはずなのに、グッスリ眠った気がしないということってありませんか?
もしかしたら不眠症の一つである熟眠障害かもしれません。
眠りが浅く、長い夢をみる傾向にあるといわれています。
いわゆる睡眠時間は足りているけど、睡眠の質が低いタイプがこれに当てはまります。
睡眠誤認【睡眠時間は問題ではない】
客観的な計測では「十分に眠れている」のに、主観的には「あまり眠れていない」と感じてしまう状態を睡眠誤認といいます。
不眠症を訴える人の中には、この睡眠誤認が原因で訴えている人も少なくありません。
例えば、高齢者は加齢によって夜に長時間眠り続けることが難しくなります。
事実、高齢者は若年者より睡眠時間は少なくてもよいということが分かってきています。
それにも関わらず、「若いころと同じぐらいの時間眠らなければいけない」と思い込んでいると、睡眠時間が足りないと感じてしまい、不眠を訴えることがあります。
必要な睡眠時間には個人差もあります。
7時間とか8時間以上眠らなければいけない、などのような聞いたことのある情報を鵜呑みにしてしまい、自分の睡眠が足りていないと感じてしまうこともあったりします。
睡眠時間が短いことや目覚めの回数が多いことに、こだわりすぎないことが重要です。
なぜ不眠症になる?【不眠症を発生させる3つのP】
不眠症はどのようにして発症するのでしょうか?
「3Pモデル」とよばれる仮説では、不眠症に至る要因には3つあると考えられています。
素因、促進因子、持続因子の3つです。
順番に解説していきます。
素因【不眠症を発症しやすい年齢・性別・性格など】
その人の年齢や性別や性格など、不眠症の発症のしやすさを左右する「素因」があります。
たとえば、心配性の人は不眠症になりやすいといわれています。
また、女性は男性より不眠症になりやすい傾向があります。
年をとると必要な睡眠時間は短くなるのが普通ですが、若い時と同じぐらい眠らないといけないと思い込むことで不眠症になる場合もあります。
促進因子【不眠症を発症するきっかけとなる出来事】
素因を持つ人に不眠症を発症させる「促進因子」の発生があります。
たとえば、災害が起きたり、自分や家族が病気になったりといったストレスが、発症の引き金となってしまいます。
この段階の不眠症は、一過性のものであり、数日~数週間で自然と治るものが多いのが特徴出す。
持続因子【不眠症を慢性化させる良くない習慣】
不眠症をこじらせる「持続因子」があります。
たとえば、長い昼寝やカフェインの多量摂取などの「よくない習慣」を続けていると、不眠症が長引き慢性化してしまいます。
また、眠れないまま長時間布団に横たわっていると、「なぜ眠れないのか」と思い悩んでさらに眠れなくなることもあります。
そういった「持続因子」が不眠症を慢性化させてしまうので、深刻な不眠に悩まされている場合には、自分で解決しようとせずに、早めに専門医に相談するのがよいでしょう。
不眠の対処法と改善のためのコツ
不眠症の改善の第一歩は、自分が眠れない原因を知ることです。
原因を知れば改善するための対策をとることができます。
眠りやすい決まった方法はありません。
自分にあった安眠法を工夫することが大切です。
不眠の対処法のコツをいくつかご紹介します。
起床時刻を一定にする【クロノタイプも参考になる】
人の体内には体内時計というものが存在します。
約25時間を1周期としていることが研究により証明されています。
この体内時計は人によって少し短かったり長かったりします。
そのため日々の生活をしていると少しずつずれてきます。
休日に昼頃まで遅く寝てしまうことがあったりしますよね。
こういった平日と休日の起床時刻の差は体内時計を狂わせる原因となってしまいます。
同じ時刻に起床する習慣をつけることが睡眠のリズムを作る第一歩となるでしょう。
自分が朝型か夜型かを知ることもヒントになります。
以前の以下のツイートを参考に載せておきます。
朝型や夜型といった睡眠のタイプは「クロノタイプ」といいます。
遺伝子で決まっているので、努力で変えることは難しいです。
自分のクロノタイプを知りましょう!
自分のクロノタイプは、「朝型夜型質問紙(MEQ)」と呼ばれるテストで判定できます。https://t.co/NsU41O1Dsg— しーたす@健康寿命延伸ブログ (@generalist_pt) November 12, 2019
就寝時刻は決めてしまわない
明日の朝のことを考えると、早く寝ないといけないと思ってしまったりしますよね。
でも、眠気がくる時間というのは日によって違うわけです。
仕事で疲れている日もあれば、ゆっくり過ごして疲れていないときもあります。
毎日同じ時間に寝ないといけないと、眠くないのに寝床についてしまうことが、結果的に不眠に繋がるケースも多いのです。
睡眠の質を測る一つの指標として、「睡眠効率」について知っておきましょう。
長く寝床についてるけど眠れないというのでは効率が悪いですよね。
実際に寝床についている時間のうち、睡眠できていた割合がどの程度かという値になります。
合格ラインが85%以上となります。
就寝時刻を決めて、眠くないのに寝床についてなかなか眠れないと睡眠効率が低くなってしまいます。
以前の下記のツイートも参考に載せておきます。
睡眠の良し悪しを測るのに「何時間寝たか」より使える基準があります!
それは「睡眠効率」です。
布団に入ってから眠りに落ちるまでの横になっている時間に対し、実際にどのぐらい寝れているのかを表す割合となります。
時間がきたからと眠気もないのに、寝床につくのはやめましょう! pic.twitter.com/1rcXigvBdd— しーたす@健康寿命延伸ブログ (@generalist_pt) November 10, 2019
睡眠時間にこだわらない
日本人の平均睡眠時間は7時間半程度といわれています。
しかし、睡眠時間にはかなりの個人差があることが分かっています。
珍しいですが、ショートスリーパーといわれるような3時間程度の睡眠で大丈夫な人もいたりします。
一方10時間ぐらい寝ないとダメという人もいたりします。
また年齢によっても大きく異なります。
高齢者になるほど平均睡眠時間は短くなる傾向になります。
○時間は眠らないといけないと、こだわりすぎることが不眠に繋がってしまいます。
眠気がこないときはむやみやたらに寝床につき続けないようにしましょう!
身体や脳が眠りを必要としたら眠たくなるさ!ぐらいのゆとりを持つことが大切です。
「いい睡眠=睡眠時間」ではありません。
一般的に日本人の平均睡眠時間は7時間半と言われていますが、個人差が大きいことが知られています。
珍しいですが、3時間とか4時間半などのショートスリーパーと言われる人も存在します。
睡眠時間にこだわると不眠症を発症する要因になるので、注意が必要!— しーたす@健康寿命延伸ブログ (@generalist_pt) November 10, 2019
朝起きたときに太陽の光を浴びる
太陽の光には体内時計をリセットさせる力があります。
朝光を浴びてから16時間程度経過すると眠気が出現することが分かっています。
まずは朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びてみましょう。
そこで体内時計をリセットさせることが大切です。
朝早くに起きて太陽の光を浴びることが、結果的に夜の適切な眠気を促し、睡眠のリズムをつくることにつながるといえます。
逆に夜に強い光を浴びると体内時計を狂わせてしまうため注意が必要です。
人間の体はサーカディアンリズム(概日リズム)といわれる体内時計が存在します
朝起きて太陽光を浴びて16時間程度で眠気が発生します現代の日本では、夜間にも強い光を浴びることが多いので、体内時計が崩れやすいのかもしれないですね
夜間は白色系ではなく、暖色系のライトを使うのもオススメ!
— しーたす@健康寿命延伸ブログ (@generalist_pt) November 11, 2019
日中に適度な運動をして身体を疲れさせる
睡眠は脳の休息の意味合いが強いですが、身体の疲労回復の効果もあります。
適度な肉体的疲労は心地よい眠気を促してくれます。
激しい運動よりは長時間の有酸素運動が効果的といわれています。
ただ寝る前に運動を行うと交感神経を刺激してしまい、寝つけなくなるため注意が必要です。
運動は日中に行いましょう。
午前中より午後の運動が良いといわれています。
自己流のストレス解消法を見つける
毎日仕事やプライベートで人は気づかないうちにストレスを受けています。
ストレスはコップに1滴ずつ溜まっていくようなものです。
ある程度までは器にためておくことはできますが、あるところを越えてしまうとあふれ出てしまい取り返しがつかなくなります。
うつ病は不眠症と大きくかかわります。
日々のストレスを溜めこまないように、自分にあった趣味などでストレスを適宜発散させることが大切です。
音楽、スポーツ、読書、映画、旅行、人と会って話す、など自分がストレスを発散できるものであれば、何でもよいでしょう。
寝る前にリラックスし副交感神経を働かせる工夫をする
寝る前にはリラックスできる環境をもうけましょう。
睡眠前に副交感神経を働かせることが安眠へのコツになります。
ぬるめのお湯に半身浴するのもいいし、ゆったりとした好きな音楽を聴くのも、読書をするのもいいでしょう。
スムーズな入眠に移行するための自分なりの入眠儀式を作ろう!
交感神経を鎮め、副交感神経を優位にするような、自分なりのリラックス方法をみつけてみよう。
音楽、アロマなどもいいかも。
軽く体温が上がって、その後の深部体温の低下を促す、ぬるめの湯温での入浴やストレッチなどもオススメです!— しーたす@健康寿命延伸ブログ (@generalist_pt) November 11, 2019
寝る前に交感神経を高めることをしない
眠るためには副交感神経を働かせる必要があります。
相反する交感神経を寝る前に刺激しないようにしましょう。
カフェインやニコチンなどの刺激物は交感神経の興奮を高めることが知られています。
寝る前に、コーヒーや紅茶などのカフェインを多く含む飲み物は飲まないようにしましょう。
タバコも控える方がよいでしょう。
強い光刺激や興奮を高めるような活動は寝る前には避ける方が得策だといえます。
寝る直前までスマホやパソコンを触ったり、テレビや動画を観るのも避けたほうがいいでしょう。
眠れないからといって寝酒をしない
不眠症の人の中には寝つけないから、寝酒をするというのが習慣になっている人がいます。
寝酒をすると寝つきがよくなるように思えるかもしれませんが、効果は短時間しか続きません。
飲酒後は深い睡眠が減り、早朝覚醒が増えてしまいます。
結果的に、深い睡眠が得られず質の悪い睡眠となってしまいます。
お酒は楽しむものであり、睡眠の対処法として使用するものではありません。
睡眠に適した環境づくりを
睡眠のための適温は20℃前後で、湿度は40%-70%くらいに保つのが良いといわれています。
季節によって、室内の環境をこれらに近づけられるように工夫してみましょう。
寝具についても自分に合ったものを選択することが大切です。
ベッド・布団・マットレス・枕・照明などを工夫して色々試して自分に合ったものを見つけてみましょう。
まとめ
不眠症に悩まされている人は多いです。
眠れないことがさらなるストレスとなり悪循環に入っていってしまうことが多いのも特徴です。
ループに入ってしまう前に対策することが大切です。
睡眠誤認にも注意が必要です。
身体や脳は睡眠が不足していないのに、もっと眠らなければいけないという間違った認識が、不眠の発症の原因となっている場合も多いといえます。
自分に必要な睡眠時間を知ることも大切だといえます。
適切な睡眠時間については、別記事で書いていく予定にしていますので、またの機会に参考にしていただければと思います。
厚生労働省の発表している「健康づくりのための睡眠指針2014」を整理した記事も参考になりますので、ぜひご参照ください。
それでは、また!