・肩が痛くて夜眠れないけど、痛みを少なくする方法ってあるの?
・病院と接骨院どっちにいったらいいの?ほっといても大丈夫?
・とにかく痛みをとりたい!夜眠れるようになりたい!
このような悩みを解決する記事になっています。
この記事で紹介する「五十肩の夜間痛対策」を実践すれば、夜の肩の痛みに悩まされることがなくなります!
実際に理学療法士として数百人の患者さんに携わってきた経験から、症状を軽減するための方法をお教えします。
記事前半では、五十肩で夜間痛が生じる原因について解説します。
記事後半では、僕自身の経験上で実際に効果を実感し、簡単にすぐに実践できるオススメの方法をお伝えします。
・夜間痛の原因を知りたい!
・夜間痛を軽減し夜ぐっすり眠りたい!
・夜間痛に困っていて病院に行くか迷っている。
今回は五十肩による夜間痛についての記事となっています。首のヘルニアや心筋梗塞でも肩の痛みを生じることがあったりするのでご注意ください。
五十肩の原因や対策を知りたい方は以下の記事もご参照ください。
五十肩でなぜ夜間痛が生じるのか?
五十肩で夜間痛が生じる仮説について
夜間痛の原因はいまだ明らかにはなっていませんが、仮説として以下の2つが言われています。
①肩峰下圧の上昇
②上腕骨内圧の上昇
つまりどういうこと?
では、かみ砕いて説明しましょう。
難しいことは分からないし、簡単に教えてほしいという人は以下を理解してもらえれば大丈夫です。
①肩関節に炎症を起こしていること
②肩関節が硬くなっていること
【五十肩で夜間痛が出現する理由】
・肩の周りの組織が硬くなって、肩関節の中の水をためる袋や血管がその組織に圧迫されて、圧が上昇することで痛みを生じる。
・座位や立位と違って肩甲骨が固定されてしまい、夜間の睡眠時には圧が高まりやすくなる。
・重力の方向が座位と立位のときと臥位では異なるため、腕の重みが肩にかかってしまうことにより痛みがでやすい状態となる。
夜間痛が生じる理由はどうでもいいから、対策方法を教えてほしいという方は次の見出し項目まで飛ばしてもらって大丈夫です。
もう少し詳しく知りたいという方は以下もご参照ください。
夜間痛が生じる理由①【肩甲骨が床に固定されるため】
肩峰というのは肩の屋根の部分のことをいいます。
五十肩になるとこの屋根の下の部分が硬くなってしまいます。
座ってたり立っているときは、硬くなっている肩関節の代わりに肩甲骨が動いてくれることで代償がききます。
しかし、夜間の就寝時には肩甲骨が床面に固定されるので、この代償がききません。
そうなると硬くなっている屋根の下の部分が引っ張られることで痛みが出現します。
夜間痛が生じる理由②【肩関節容量の減少するため】
五十肩になると炎症を繰り返したり痛みで動かせないうちに硬くなってしまいます。
そうやって関節の周囲が縮こまったり癒着したりしてきます。
関節の中には関節液をためておく袋のようなものがあり、通常は約30mlぐらいの容量があります。
しかし、拘縮肩といわれるような硬くなった肩では10ml以下に容量が低下します。
ゴム風船が硬くなって縮こまった状態で考えてもらうといいでしょう。
通常は関節の中の袋は圧力を逃すだけのゆとりがありますが、この状態になると少しの動きでも圧が高まってしまい痛みをだしてしまいます。
ちょうど風船を膨らましたときに、強度の弱い部分がこぶのように膨らみいびつな形になるように物理的な刺激を受けるような状態です。
夜間痛が生じる理由③【上腕骨内圧の上昇のため】
上腕骨という肩関節を構成している骨があります。
この骨には栄養を運ぶための小さな血管が存在しています。
骨に栄養を運ぶための中に入っていく血管と、骨から外に出すための血管が存在しています。
特にこの骨から外に出すための血管の方が細くなっています。
五十肩で肩の周りの筋肉が硬くなってしまうと、この細くて小さい血管を圧迫してしまいます。
そうすると、骨の中に血液は入っていくけど出ていけない状態になって、うっ血といわれる血液がたまった状態になってしまいます。
そうすると血液で骨の中の圧力が高まってしまい痛みを出してしまいます。
そのため、五十肩になると痛い方の肩を下にして横向きに寝ると痛みが生じます。
五十肩の夜間痛を改善し眠れる方法
五十肩の夜間痛を改善する方法について
五十肩による夜間痛を改善するためには大きく分けて以下の2種類の対策が必要です。
①夜間痛の原因となっている肩関節の炎症を抑える
②夜間痛の原因となっている肩関節の拘縮を改善する
②夜間痛が出にくいようなポジショニングを行う
③痛み止めや睡眠導入剤などの薬の服用で緩和させ眠りやすくする
①については、アイシングや関節内注射で肩関節の炎症を抑えることが挙げられます。
②については、肩関節の柔軟性を改善することで、夜間の睡眠時の肩関節の内圧を軽減させることが挙げられます。
③については、夜間の睡眠時に肩関節に負担をかけないようなポジショニングをすることが挙げられます。
④については、服薬により痛み自体を緩和したり眠りやすい状態にすることが挙げられます。
順に解説していきます。
五十肩の夜間痛を改善する方法①【肩関節の炎症を軽減】
ある程度の関節内炎症であればアイシングで炎症を抑えることが功を奏することもあります。
しかし、肩関節の炎症を起こして強い痛みを出している時期は何をやっても駄目なときはダメです。
そのまま寝られない状態で耐え忍んで不眠症や鬱になったりした患者さんを僕自身何人も見てきています。
その状態が続けば続くほど肩の拘縮(固まってしまうこと)が強くなりどんどん悪循環に入っていきます。
整形外科病院に行きましょう。
関節内注射などの処置で一気に楽になる可能性もあります。
また、後述するポジショニングや疼痛緩和方法など理学療法士が適切な対処法を教えてくれるはずです。
五十肩の夜間痛を改善する方法②【肩関節の柔軟性を改善】
五十肩で夜間痛が発生する原因から考えても、根本的な改善には炎症をまず落ち着かせることと、その次に肩関節の柔軟性を改善することが大事になってきます。
肩が硬くなっていると、夜間時に腕の重みにより肩の組織が伸長されることで夜間痛の原因となります。
肩のストレッチなど柔軟性を改善するようにしましょう。
以下の記事もご参照いただければと思います。
五十肩の夜間痛を改善する方法③【夜間の睡眠時のポジショニング】
夜間痛の根本的な原因に対する介入ではありませんが、対症療法としては夜間の肩のポジショニングが最重要です。
ひどい場合は臥位がとれないので座位で眠る人もいるほどです。
電動のモーターでギャッジアップといってベッドの角度を斜め45度とかに変えられる介護用ベッドであれば楽ですが、普通の家庭にはありません。
かといって座位だとさすがに眠れないと思うので、布団を畳んでおいて斜め45度ぐらいのポジションにして寝るのも一つかと思います。
以下にポジショニングの一例をお示しします。
五十肩の夜間痛を改善する方法④【痛み止めや睡眠導入剤などの服用】
痛み止めや睡眠導入剤を服用することも有効な手段の一つです。
服用して少しでも快適に眠れることができるなら利用しない手はありません。
副作用がないことはないですが、背に腹は代えられません。
一生使うわけではないですし、一時的な苦痛を逃れるためのものなので、楽に眠れるなら利用すべきです。
整形外科を受診し処方してもらった場合は使ってみてはどうでしょうか?
五十肩の夜間痛を改善するためのオススメグッズ
①ファインビーズぐっしょん そらまめ
ビーズクッションは形を自在に変えられるので、体型に応じてうまく肩の下に差し込めるのでオススメです。
比較的安価ですし、これ一つあるのとないのとでは雲泥の差です。
病院でも肩の手術後の患者さんには同じようなものを使用していますよ。
実際使用されている患者さんからの評判も良いので、五十肩の夜間痛に悩まされている方にはオススメできます。
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②五十肩専用枕
枕と肩の下に引くクッションが一体型になっています。
枕とくっついているため寝ている間にズレにくいのがいいです。
五十肩の夜間痛に悩まされている方の評判もいいのも安心ですね。
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③アイシング用肩サポーター
野球選手で投げ終わった後に使っているのを見たことがある人もいるのではないでしょうか?
マジックテープで止めておくことができるので、つけたまま動けるのが氷嚢と違って便利なところじゃないでしょうか。
④夢みるここちのピップほっとリフレ
関節の炎症の時期をおえて、逆に肩が冷えると痛い場合などは温めるほうが楽になる場合も多いです。
そういった方に対しては、比較的安価で首~肩周囲を温められるこの商品はオススメの一品です。
まとめ【五十肩の夜間痛を改善して眠れるように】
五十肩の夜間痛に悩まされている方はたくさんいます。
普段病院で働いている僕自身も多くの患者さんから相談を受けます。
夜間痛は相当につらく苦しいので不眠症や鬱を発症される方もおられます。
そうなる前に適切な対策をとって、少しでも早く五十肩による夜間痛から解放されることを切に願います。
この記事がそういった方々の参考に少しでもなれば、これほどうれしいことはありません。
以下は参考や引用した文献です。
・Michael Schunke:プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系,医学書院.2007
・嶋田智明:実践Mook理学療法プラクティス 肩関節運動機能障害 何を考え どう対処するか,文光堂.2009
・昭和大学藤が丘リハビリテーション病院:これだけは知っておこう 肩の診かた 治し方,メジカルビュー社.2004
・工藤慎太郎:運動器疾患の「なぜ?」がわかる臨床解剖学,医学書院.2012
・整形外科リハビリーテーション学会:改訂第2版 関節機能解剖に基づく 整形外科運動療法ナビゲーション-上肢・体幹,メジカルビュー社.2014
五十肩についてもう少し詳しく知りたいという方は以下の記事もご参照ください。
それでは、また!