リハビリ

安静にすべきか動かすべきか?理学療法士による五十肩の対策10個

しーたす
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こんにちは!理学療法士のしーたす(@generalist_pt)です。
・五十肩といわれたけどなかなか治らない。どうしたらいいの?

・肩が挙がらないようになって、動かすように言われて動かしたら余計に痛くなったけど、動かしていいの?安静にした方がいいの?

・肩は温めた方がいいの?冷やした方がいいの?

・五十肩ってそもそも何なの?

このような悩みを解決する記事になっています。

この記事で紹介する「五十肩を治す10個のポイント」を理解すれば、五十肩を治すきっかけになります!

実際に理学療法士として数百人の患者さんに携わってきた経験から、五十肩の症状を軽減するための方法をお教えします。

記事前半では、五十肩について知っておくべき知識を解説します。

記事後半では、僕自身の経験上で実際に効果を実感し、知っておくべき五十肩の治療のポイント10個をお伝えします。

五十肩の治療のポイント10個はこちらから

しーたす
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理学療法士として多くの患者さんに携わり、五十肩を治療してきた経験からお伝えします!
こんな人にオススメの記事

・五十肩ってどういうものなのか知りたい!

・肩の痛みをとったり、肩が挙がるようにしたい!

・今行っている五十肩治療や行為が正しいのか知りたい!

今回は五十肩での肩の痛みについての記事となっています。

個人個人の症状によって合うか合わないかは異なります。

医師や理学療法士の指示のもとで、自己責任の範囲でお願いします。

五十肩による夜間痛にお悩みの方は以下の記事もご参照ください。

肩の痛みで眠れない人も眠れるようになる! 【五十肩の夜間痛対策】
肩の痛みで眠れない人も眠れるようになる!【五十肩の夜間痛対策】五十肩になって一番困っている方が多いものに、夜間痛による睡眠障害があります。理学療法士として病院で働いているなかで日々の経験から、夜間痛の原因と対策方法について解説しています。アイシング、夜間睡眠時のポジショニングなどオススメのグッズについてもご紹介しています。...

五十肩とは【原因や症状について】

四十肩とか五十肩はその名の通り、40代~50代で肩の痛みと可動域制限を生じるものをいいます。

いわゆる五十肩は「関節構成体の退行性変化を基盤として発症し、肩関節の疼痛と運動障害を主訴とする症候群で自然治癒するもの」と定義されています。

つまりどういうこと?
しーたす
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・老化によって関節の組織が弱ったことが基盤となっている

・肩関節の痛みと運動障害を生じるが自然軽快するもの

・腱板損傷などの組織の構造的な問題を有していないもの

何か思い当たる原因がないのに、徐々に肩の痛みがでてきたり、肩が挙がりにくくなった場合には五十肩の可能性があります。

レントゲンやMRIなどで構造上の問題が見つからなかった場合につけられることの多い診断名です。

6ヵ月~2年程度で自然軽快することも多く、いつの間にか症状がなくなっていたという人も多い疾患です。

五十肩とは

・老化が基盤となっているが関節構造の問題はないもの

・特に思い当たることがなく発症することも多い

・肩の痛みと可動域制限(肩が挙がらない)が主な症状

・放置していても6ヵ月~2年程度で自然軽快することも多い

五十肩は時期に応じて症状や対策方法が異なる

五十肩に対して対策方法はどうしたらいいの?

・五十肩を治すには肩を動かした方がいいの?

・安静にした方がいいの?

・冷やした方がいいの?温めた方がいいの?

これらの疑問が湧いてきますよね?

しーたす
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それらの疑問に対する答えは『正解でもあり不正解でもあります。時期によって異なります。

五十肩の治療で多くの失敗はココにあります!

・動かした方がいいと言われて痛いのを我慢して動かしてたら余計に痛くなった。

・安静にした方がいいと言われてずっと安静にしてたら痛みはマシになったけど肩が硬くなって挙がらなくなった。

こういったことが往々にして起こります。

五十肩には病態が時期によって大きく異なることを知ろう

五十肩は時期によって病態が大きく異なります

つまり同じ治療法や対策方法でも時期によっては正しかったり間違っていることになります。

治療や対策が奏功するかどうかは時期に応じて適切な方法を選択できているかが重要です。

臨床経過としては、以下の3期をたどることが多いといわれています。

freezing期(急性期)安静時痛だけでなく、夜間痛・運動時痛が著明で日常生活活動は著しく制限される時期である。

炎症に加えてスパズムを伴う。関節拘縮は認められないか、あっても軽度であることが多い。

frozen期(慢性期)拘縮による可動域制限のため運動が制限される時期である。

疼痛は減少傾向にあるが、制限域にて強い抵抗感を伴う疼痛が生じる。

thawing期(回復期)可動域制限が改善し、正常に近づく時期である。

急性期⇒慢性期⇒回復期という経過をたどります。

どの程度で時期を移っていくかは症状の強さや状態によって異なります。

できるだけ急性期の期間を短くすることがポイントになります。

急性期、慢性期、回復期でのそれぞれの対策とは

それぞれの時期に応じた治療指針は以下となります。

freezing期(急性期)痛みや炎症を抑えることを最優先にする
frozen期(慢性期)痛みや炎症の軽減に応じて動かしていく
thawing期(回復期)ガンガン動かしていく

炎症というのを関節の中で火事が起こっていると考えてみましょう。

【急性期】家事が起こって燃えている状態

【慢性期】火はいったん消えているけど油を注げば火がつく状態

【回復期】完全に火は消えている状態

五十肩の急性期の対策

火事が起こっているところを動かしたら余計に酸素が入って燃えが広がっちゃいますよね。

そんなところに油でも注ごうものなら大変なことになります。

痛いのを我慢してむやみやたらに動かすと余計炎症が強くなって痛みが強くなります

火事を起こしたら水をかけて鎮火させることを第一にしますよね。

つまりこの【急性期】ではアイシングをしたり安静にすることが大切になります。

急性期の対策

・安静にする

・痛みのない範囲での動作にする

・日常生活でも痛みを出さないようにする

・アイシングをする

・痛みによって硬くなった筋肉をほぐす

五十肩の慢性期の対策

【慢性期】はいったん火事の火が消えた状態なので、少しずつ火種となっていたものを取り除いていきます。

つまり、少しずつ硬くなった筋肉などの組織をほぐしていったり、弱くなった筋肉を鍛えていきます。

ただこの時期で最も注意すべきは、動かしすぎて再び炎症を起こしてしまうことです。

火に油を注ぐ形になってしまい再び火がついてしまうことを避けなければなりません。

痛みの落ち着き加減に応じて慎重に段階を踏んで動かしていく必要があります。

慢性期の対策

・痛みが強くならない範囲で動かしていく

・痛みが全くない範囲で動かすのでは進歩がない

・日常生活でも少し痛みを感じる程度であれば使っていく

・動かしたあとなど関節の炎症が少しあればアイシングをしてもいい

・筋肉の張りがあれば温めることが功を奏する

五十肩の回復期の対策

【回復期】は火が完全に消えた状態なので油をそそいでも火が起こることはありません。

この時期は硬くなって肩は挙がらないけど痛みを感じなくなっている状態です。

可動域や筋力の改善のために積極的に動かしていくことが必要となります。

いったん硬くなった組織が軟らかくなるには期間を要するので、焦らず気長に取り組む必要があります。

回復期の対策

・痛みはあまり感じないことが多いので積極的に動かす

・日常生活でも積極的に使っていく

・お風呂などで温めてストレッチをするのもあり

・数ヵ月~年単位かかることもあるので、気長に継続して動かしていく

急性期をできるだけ早く終わらせることが大切

五十肩は痛みがもっとも辛い症状であることが多いです。

そのため一番痛みの強い時期である急性期が大変です。

眠れなかったり日常生活にも支障を生じたりします。

人によってはそこから不眠やうつになったりすることもあります。

そしてこの急性期が長引けば長引くほど、拘縮(関節が固まってしまうこと)が強くなってしまいます。

そのため、慢性期や回復期の期間も長くなってしまいます。

長期的にみれば、できるだけ早期に急性期を脱することが五十肩のもっとも大切なことになるのではないかと思います。

・急性期をできるだけ早期に終わらせる

・急性期に適切な治療をしないとドツボにはまる

・慢性期は炎症を再燃させないようにバランスよく動かしていく

・痛みがなくなればどんどん積極的に動かす

・回復期は長期間を要することを理解し気長にやっていく

・今病態がどの時期にあるかを見極めた適切な治療を行う

五十肩の時期別の治療方法の実際【10個のポイント】

1.ポジショニングをして緊張や痛みを和らげる

肩関節は肩甲骨の関節窩というところを関節面としています。

その肩甲骨は鎖骨と繋がってぶら下がっているだけです。

ぶら下がっているだけなので重力による影響を受けやすい

つまり腕の重さが関節に影響を与えやすいといえます。

肩関節構造

【立っているとき】腕の重さをとってあげるようにズボンのポケットに指をかける

【座っているとき】太ももの上に大きめのクッションを置いて腕の重さをのせる

【横向きで寝るとき】お腹の前に抱き枕のようにクッションをかかえる

【仰向けで寝るとき】腕から肩の下にクッションをしいて腕の重さを支えてあげる

五十肩のポジショニング

夜間痛に悩まされている方は、以下の記事もご参照ください。

肩の痛みで眠れない人も眠れるようになる! 【五十肩の夜間痛対策】
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2.鎮痛剤や睡眠導入剤などで痛みや不眠などの苦痛を減らす

五十肩の場合は日中より夜間に痛みが強くなりやすいです。

そのため、夜痛くて眠れないことが大変な苦痛やストレスになります。

長く続くことで鬱などになったりメンタルをやられてしまっている方も多いので注意が必要です。

副作用を気にするよりしっかり薬を使って楽になることが大切です。

痛みが軽減したり夜眠れるなら使うべき。

3.関節内注射で肩関節内の炎症を抑えてもらう

急性期の炎症を起こしている時期で、まだ肩関節が硬くなっていない状態であれば、関節内注射で即時的によくなることもあります

注射を打つ場所によって結果が大きく変わることも多いです。

肩関節専門医はエコーガイド下(超音波でみながら)で炎症を起こしているところに注射で直接炎症を抑える液を注入するので効果は抜群です。

医師の力量に左右されるところがあるのも実状です。

肩関節内注射

関節内に注射をするもう一つの目的があります。

それは関節内に液をいれることで、関節の中で癒着して硬くなったところを液の圧力によりはがすことです。

これで即時的に可動域の改善がみられることもあります。

4.首や肩甲骨周りの筋緊張を軽減させる

肩関節が炎症を起こして痛みが強くて動かせない時期でも、首や肩甲骨は動かすことができます

痛いと周りの筋肉に力が入って縮こまりやすくなります。

そうすると、関節の痛みだけでなく筋肉の張りによる痛みも混在してきます。

炎症期を越えているはずなのに、痛みがどんどん強くなっている場合は、こういった関節外の筋肉の痛みが強くなっている可能性が高いです。

首や肩甲骨周りの筋緊張を軽減させるための運動やストレッチを行ってみましょう。

5.アイシングで肩関節内の炎症を軽減させる

急性期の炎症を起こしている時期には、冷やすことで炎症を抑えて痛みが軽減することがあります。

慢性期~回復期で肩周囲の筋肉が縮こまっての痛みの場合は、逆に温めることで筋肉が動きやすくなってマシになることもあります。

温熱、寒冷のどちらが効果的かは時期によるところが大きいです。

今の自分の時期がどの病期かを考慮したうえで試してみて症状が軽減するのであれば導入してみましょう。

6.モビライゼーションで肩関節内の動きを改善させる

モビライゼーションとは関節の中を徒手的に動かす手技で、理学療法士がリハビリで行うものになります。

自分で行うことは難しいです。

整形外科を受診しリハビリテーションを受けることで行えるため、理学療法士の力の見せ所になります。

痛くて自分で動かせない時期でも、その状態に応じて理学療法士が行うので、基本的にはどんな肩の痛みも対象に入ります。

肩関節モビライゼーション

似たような手技で医師が行うマニピュレーションというものがあります。

医師が肩関節に麻酔をかけ、通常であれば痛くてできない動きを、強制的に行うことで硬くなっているところを動かす手技になります。

7.肩関節可動域訓練で可動域の拡大を図る

肩関節を動かして硬くなった部分を伸ばしていくのが目的になります。

前述した時期に応じた強度設定で行うことがもっとも大切です。

そこを誤って無理に行うとかえって痛みが強くなったり、炎症を起こしたり、可動範囲が狭くなる可能性もあります。

基本的には、痛みが増強しない範囲で行うことです。

その場で少し痛くてもすぐにおさまったり、ほとんど痛くない場合は積極的に行えます。

動かすとしばらく痛みが残ったり、かえって次の日に余計に痛くなったりする場合は要注意です。

医師や理学療法士の指示のもとに行うようにしましょう。

8.肩関節周囲の筋肉をダイレクトマッサージする

痛くて動かせない場合でも、胸や肩の後ろの筋肉をほぐすことで症状が改善することがあります。

肩を動かしても伸びにくい筋肉があったりします。

そういったところは直接マッサージをすることでほぐしてあげることも効果的です。

自分の指で押さえて痛みがある筋肉を押さえてみて、症状が楽になる場合はアリかもしれません。

関節の炎症を起こしている部位をマッサージしてかえって痛みが強くなる可能性もあります。

医師や理学療法士の指示のもと行うようにしましょう。

9.インナーマッスル(腱板)の筋力の向上を図る

肩の周りの筋肉にはアウターマッスルとインナーマッスルがあります。

アウターマッスル(大胸筋と三角筋) インナーマッスル(腱板)

【アウターマッスル】三角筋や大胸筋などの表層にある大きな筋肉

【インナーマッスル】腱板といわれる肩の内側にある小さな筋肉

五十肩になっている人の多くはアウターマッスルが優位になっており、インナーマッスルが衰えていることが多いです。

強い抵抗で筋力トレーニングを行うとアウターマッスルが優位に鍛えられてしまいます。

うちわを扇ぐような動きで肩の内外旋を行うことが効果的です。

ごく軽めのチューブで行ったり、風呂の中の水の抵抗で行うこともありです。

インナートレーニング(カフエクササイズ)

10.日常生活の中で使っていく

慢性期~回復期の時期にくれば、ある程度日常生活で使っていくことで肩の可動域の改善の後押しをしていきましょう。

急性期の時期には、無理に日常生活で使うことで炎症を強める危険性もあるので注意が必要です。

テーブル拭きや窓ふきなどで肩の可動域を広げるような動きをするのもオススメの方法です。

テーブルサンディング

まとめ【五十肩を治すために】

僕自身の理学療法士としての経験や知識の中からの情報なので参考にはなるかと思います。

実践することで楽になった人がいれば、こんなに嬉しいことはありません。

ただ、これをすれば良くなるというような魔法の方法はありません

それは各個人で症状が異なり、身体の機能もそれぞれ違うためです。

時期によって、正しいといえたり間違っているといえることが往々にしてあります。

ここに書いた情報も実践することで症状が良くなることもあれば、逆に悪くなる可能性もあります。

けっして鵜呑みにはせず、医師や理学療法士の指示のもと、あくまでも自己責任の範疇でお願いします。

ただ、参考に少しでもなれば嬉しいです。

みなさんが、肩の痛みから解放されますように!

参考・引用文献

・Michael Schunke:プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系,医学書院.2007

・嶋田智明:実践Mook理学療法プラクティス 肩関節運動機能障害 何を考え どう対処するか,文光堂.2009

・昭和大学藤が丘リハビリテーション病院:これだけは知っておこう 肩の診かた 治し方,メジカルビュー社.2004

・整形外科リハビリーテーション学会:改訂第2版 関節機能解剖に基づく 整形外科運動療法ナビゲーション-上肢・体幹,メジカルビュー社.2014

五十肩による夜間痛に悩まされている方は以下の記事もご参照ください。

肩の痛みで眠れない人も眠れるようになる! 【五十肩の夜間痛対策】
肩の痛みで眠れない人も眠れるようになる!【五十肩の夜間痛対策】五十肩になって一番困っている方が多いものに、夜間痛による睡眠障害があります。理学療法士として病院で働いているなかで日々の経験から、夜間痛の原因と対策方法について解説しています。アイシング、夜間睡眠時のポジショニングなどオススメのグッズについてもご紹介しています。...

それでは、また!

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