実は、カロリーを摂りすぎたら太る、カロリー不足だと痩せるという単純な話ではないんです。
ひと昔前までは、カロリーですべてを語られることも多かったですが、最近では色んな栄養に対する考え方もでてきており日々変わってきています。
今回は、ダイエットといえばカロリー制限という認識を変えてもらうため、ダイエットするにあたっての一つの考え方を伝えたいと思います。
今までにダイエットをしようとカロリー制限したりしたけどうまくいかなかったという方もいるのではないでしょうか?
そういった方のダイエットを成功に導くために知っておくべき栄養の考え方の基本的な内容のひとつになるかと思います。
この記事を読めば、より楽にダイエットをすることができるようになります。
・色んなダイエットを試しては失敗ばかりしている人
・カロリーを摂りすぎたら太ると思っている人
・食事量を減らさずにダイエットできる食事管理法を知りたい人
カロリーだけではなくマクロ栄養素について知ろう
カロリー制限をすれば痩せる?
※今回に関しては、性別や年齢や運動量による消費エネルギー量の差も考えるとややこしくなるので、消費エネルギー量は同じであると仮定して考えていきます。
摂取カロリーが同じでも太っている人と痩せている人はいますよね。
では、この差はどこから生まれてくるのでしょうか?
カロリーだけで考えたらおかしいことですよね。
摂取エネルギー量>消費エネルギー量だとみんな必ず太るはずですもんね。
でも実際は、消費エネルギーが2000kcalで同じでも、2500kcalとっても太らない人もいれば、2000kcalとっても太る人がいたりします。
そもそもカロリーとは何でしょうか?
カロリーとは食品を燃やした時に発生したエネルギーの量を数値化したものです。
ある食品を体外で燃やしたときに発生したエネルギー量が、食品が体中に入ったときに実際に吸収されるエネルギー量が同じであると仮定したものがカロリーの根本的な考え方です。
ざっくりといいますが、
食品は口から入ったら消化器官で消化されて栄養素に分解されます。
そしてそれが吸収されて体内で栄養として利用されて、余った分は体内に貯蔵されたり足りない分は貯蔵分から出したりして代謝されていくわけです。
こう考えると、食品内のカロリーが実際に体の中に入ったらすべて同じように吸収されてエネルギーになると考えるのもおかしい気がしませんか?
カロリーだけ考えてもダイエットはうまくいかないというのは、ダイエットを経験したことのある「あなた」は実際に経験して感じているはずです。
カロリー制限しなくても痩せることは可能です。
というか、むしろカロリー制限する方がダイエットは難しいといってもいいです。
それを理解するためには、カロリー以外の別の要素について理解する必要があります。
では、次の項で説明していきます。
マクロ栄養素とは
コンビニやスーパーで買い物をしたりするときに商品に食品表示のシールが貼られていますよね。
何か食品があれば実際に食品表示をみてみてください。
その中にたんぱく質・脂質・炭水化物という項目が書いてあるかと思います。
マクロ栄養素や3大栄養素という言葉は聞いたことありますでしょうか?
食品の中の栄養素を分類したときに、最も大きいカテゴリーでは、たんぱく質・脂質・炭水化物に分けられます。
これを3大栄養素といい、マクロ栄養素ともいわれます。
各栄養素の役割は大まかにいえば、以下の通りです
たんぱく質:筋肉、皮膚、内蔵、脳など体の大部分を構成する材料
脂質:ホルモンや細胞膜などの材料、エネルギー源
炭水化物:エネルギー源
たんぱく質は、体内に体重の15%程度存在していて、体内のたんぱく質の7割近くが骨格筋に存在しています。
逆にいえば、筋肉はたんぱく質の貯蔵庫ともいえます。
脂質は、ホルモンの材料になったり細胞の機能を円滑化するような潤滑剤的な存在です。
またエネルギー産生の主要な基質となります。
炭水化物は、大きくわけると糖質と食物繊維に分けられます。
糖質は、エネルギー源として利用される主要な要素となります。
食物繊維は、人の消化酵素では分解されないため小腸では吸収されず、大腸の腸内細菌で分解されて一部エネルギー源となります。
マクロ栄養素のカロリーの違い
各栄養において、カロリーの含有量は違うことも知っておくといいかもしれません。
・たんぱく質は1g=4kcal
・脂質は1g=9kcal
・糖質は1g=4kcal
例えば、
たんぱく質10g、脂質10g、糖質10gの食品の総カロリーは
10✖4 + 10✖9 + 10✖4 =170kcal となり、
たんぱく質0g、脂質10g、糖質20gの食品の総カロリーも
0✖4 + 10✖9 + 20✖4 =170kcal と同じになります。
ここで、カロリーだけで食事制限をした場合の落とし穴がわかるかと思います。
同じカロリーでも、その中の3大栄養素の割合が違うということです。
同じカロリーだから、同じぐらい太りやすいといっていいのでしょうか?
脂質が一番カロリーが高く太りやすいように思われるかもしれませんが、実際は違います。
吸収面において、脂質は余った分は排泄されやすい特徴があります。
そのため、摂りすぎると便が軟らかくなったり下痢になりやすいです。
代謝面においても、糖質代謝と比べて脂質代謝は太りにくくなっています。
単純なエネルギー量だけでは比較できないのは、この消化・吸収・代謝の側面があるためです。
日本人は主食だけで食事を済ませる人も多く、糖質過多になる傾向が高いです。
このようなメニューだとどうでしょうか?
朝はパン、昼はうどん、夜はお好み焼き
こういった食事を摂る方は、ほとんど糖質だけでエネルギー摂取をしてしまうことになります。
胃袋は満足してエネルギー量としては足りているのかもしれませんが、たんぱく質が足りていないいわゆる「質的な栄養失調」になっている場合が多いです。
体の材料となるたんぱく質が不足すると筋肉が落ちていきます。
そうなると結果的に基礎代謝が落ちて太りやすい体になるといえます。
あとたんぱく質がマクロ栄養素の中で最も太りにくいといわれる要因のひとつとして、食事誘発性代謝熱といわれるものがあります。
摂取した食事を栄養素に消化・吸収する過程で、体熱として産生されるエネルギーロスがあります。
これが、たんぱく質は摂取エネルギー量の30%にものぼりますが、糖質では約6%、脂質では4%となっています。
ざっくりといえば、たんぱく質は1000kcal摂取したとしても、消化・吸収する段階で700kcalになるということです。
ダイエットを成功させるためには、カロリー表示だけをみることをやめて、それよりもこのマクロ栄養素がどの程度含まれているか注目することから始めましょう。
マクロ栄養素の割合(PFCバランス)の目安は?
たんぱく質の摂取を第一に考え不足しないように
カロリーだけでなくマクロ栄養素の割合に注意するようにしましょうと前述しました。
では、どの程度のたんぱく質・脂質・炭水化物の割合にすればいいのでしょうか?
この3大栄養素の中で不足すると最も悪影響があるのはたんぱく質となります。
体の大部分を構成する材料となっていることから当然です。
体は日々分解と合成を繰り返しながら古い細胞から新しい細胞に変換しながら維持しています。
たんぱく質が不足するということは合成する材料がないから分解されていく一方ということになります。
たんぱく質が不足しないように注意することを第一としましょう。
マクロ栄養素の割合(PFCバランス)の決め方
「日本人の食事摂取基準(2015年度版)」では、エネルギー産生栄養素バランスを定めるには、たんぱく質の量を初めに定め、次に脂質の量を定め、その残余を炭水化物とするのが適切であると述べられています。
この指針の中では、1日に必要なたんぱく質量を成人男性で60g、成人女性で50gと定めています。
これはあくまでも平均値としての目安です。年齢や体重や活動量でもちろん異なってきます。
体重1kgあたりのたんぱく質の必要量(推奨量)は、0.90(g/kg/日)となります。
すなわち、60kgであれば、60✖0.90=54gを1日に摂取すべきということです。
活動量が高い場合はこれよりさらに摂取しないと不足する可能性があります。
あくまでも最低ラインという風に考えていただくほうがいいと思います。
54g✖4=256kcalのたんぱく質を最低摂取しないといけないということです。
あとは、1日のエネルギー摂取量のうち脂質は20~30%が目安といわれます。
例えば、2000kcalに抑える設定で考えてみますと、脂質は400~600kcalとるべきということです。
ここでは30%で考えてみましょう。
そこに、先ほどのたんぱく質摂取量を256kcalとるとすれば、残りは1144kcalを炭水化物とするということなります。
例:体重60kgで2000kcalを目安とする場合
①たんぱく質:60kg✖0.90=54g(256kcal)
②脂質:2000kcal✖30%=600kcal
400~600÷9kcal=約67g
③炭水化物:2000kcalー(たんぱく質+脂質)=1144kcal
1144÷4kcal=286g
つまり、1日の2000kcalのうち、たんぱく質256kcal、脂質600kcal、炭水化物1144kcalを目安にとるとすれば、たんぱく質54g、脂質67g、炭水化物286gで摂るようにするということです。
カロリー制限ではなく、マクロ栄養素の割合をコントロールする食事管理法をマクロ管理法といいます。
マクロ栄養素の割合は、たんぱく質(protein)、脂質(fat)、炭水化物(carbohydrate )の頭文字をとってPFCバランスともいわれます。
マクロ管理法の考え方と注意点
注意点としては、今回は例として数値は分かりやすくしただけで、これが正しいというわけではありません。
糖尿病などの糖質代謝に問題のある方、脂質をエネルギーとして利用しにくい方、腎臓機能が低下しておりたんぱく質摂取制限のある方もおられます。
病気の問題だけでなく、糖質代謝や脂質代謝、たんぱく質の同化機能などにも個人差があります。
どの程度のマクロ栄養素の割合がいいかは、こういった厚労省の発表している数値を目安にしながらも、自身の内蔵機能などを照らし合わせて考える必要があります。
基本的な考えとしては、体の材料として必要となるたんぱく質量を必要量摂取することを第一に考えます。
そして次にエネルギー不足とならないように脂質をとる量を設定します。
あとは糖質の量を調整することでエネルギー量の過不足のコントロールをするということになります。
もちろんどの栄養素であってもエネルギー量が余れば体脂肪として貯蔵されていきます。
今回は、カロリーの考え方だけではなく、マクロ栄養素についても意識をするようにしましょうというのが一番の伝えたいことになります。
そのため、細かく説明すると混乱すると思いますので、少しざっくりとした説明に変換していることはご了承ください。
マクロ管理法の実際と計算方法
マクロ管理法の実際についてもう少し詳しく説明します。
マクロ管理法のステップ
①身長、体重、年齢、性別などから基礎代謝を計算する
②1日の活動量から消費カロリーを計算する
③目標に合わせて、1日の摂取カロリーを計算する
④1日の総カロリーから、マクロ栄養素の割合を算出する
マクロ管理法を簡易に計算できるウェブサイトがありますので紹介します。
身長、体重、年齢、性別、活動度などを選択・入力するだけで、簡単に計算できるのでまずはここで計算してみましょう。
あとは、実践あるのみです。
まずは、食品表示をみる習慣をつけましょう。
自分が普段どういうPFCバランスになりがちなのかが分かってきます。
そのうえで、目標とするPFCバランスとなるようにマクロ栄養素のコントロールをしていきましょう。
もう少し、タンパク質とったほうがいいかなとか、炭水化物減らした方がいいかなとか自分にあったスタイルが自然と身についていくかと思います。
そのうち、この食材や食品にはたんぱく質が○g、脂質○g、炭水化物○gぐらい入ってるだろうなというのが食品表示を見なくても分かるようになってきます笑
そうなってくると、自然とマクロ管理法が容易になってきます。
マクロ管理法を身に着けると、単純なカロリー制限と違って、食材を選べばしっかりお腹いっぱい食べながらダイエットをすることができるようになります。
まとめ
まだまだ一般的にはカロリーだけで食事制限をしている方も多いのが実態です。
カロリーだけでなく食事の中のマクロ栄養素(たんぱく質・脂質・炭水化物)について知りましょう。
そして、マクロ栄養素の割合(PFCバランス)を管理するマクロ管理法を実践してみましょう。
栄養や食事に対する考え方を変える第一歩となるはずです。
細かい栄養素について考えるのは二の次です。
ビタミンやミネラルなど微量栄養素ももちろん大事ですが、根本のマクロ栄養素のバランスがぐちゃぐちゃになっている人が本当に多いです。
まず、マクロ栄養素のバランスを自分にとって最適なものにするだけでダイエットが簡単になり、何より健康的に痩せることができます。
それが可能となれば、さらに細かい栄養や食事についての考えを深めていきましょう。
日本人は、テレビの某番組などで○○食材がダイエットにいいといえばそれに流されるなど栄養に対するリテラシーが低い気がします。
栄養の本質を見失っている気がします。
マクロ栄養素を理解したうえで、食材の中の細かい栄養素に着目していくほうがいいと思います。
木を見て森を見ずにならないようにしましょう。
栄養は奥が深いです。
細かい部分や考え方も色々あり人によっても変わってきます。
今言われていることや主流の考えが、数年後には間違いとなったり主流の考えではなくなってることもあるかもしれません。
食事は人間の体を構成する人生において重要な要素です。
一緒に栄養について勉強していき、健康的に理想の体型になれるように頑張りましょう!
それでは、また!